甲奴町の正願寺にあった鐘をきっかけにアメリカス市との交流がはじまって25年。今では鐘は平和の象徴になっています。夏にアメリカス市を初めて訪問した旅のレポートをブログにアップしておこうと思います。発足当初の方達の思い、繋いできた方達の思いを感じることができた有意義な旅でした。
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第25次アメリカス市訪問団の一員として参加できた事、心から嬉しく思います。いろんな方から話は聞いていましたが、実際に現地に行ってその土地を感じるという体験は、私の心をより豊かにしてくれました。
今年に入って、甲奴中学校の校長先生と「今年度の学校教育目標」について話をしたことがありました。28年度の目標の中で、学力と体力をつけるのは当然の項目ですが、もう1つ重要なのが生徒の豊かな心を育てるという項目でした。豊かな心の具体的な生徒像として「人権感覚を磨き、豊かな感性と行動力のある生徒」と書いてありました。キーワードは、「人権と行動力」。先生の経験から「人権感覚を持って行動できる子は伸びる」と確信を持っておっしゃられ、今年度、非常に意識したい事なのだと。私は聞いているだけでワクワクしたのを覚えています。あくまで甲奴中学校の目標ですが、三次市そして広島県全ての生徒の心が少しでも豊かになればいいなぁと思いました。
今回の旅は、学校教育だけでは学ぶ事が難しい、まさにこのキーワードを学べるものでした。甲奴中学校以外に、吉舎、三良坂、塩町、十日市中学校の生徒さんの参加もあり、三次市の代表として、アメリカス市に行って、異文化を体験し、いろんな方の話を聞く事で、このキーワードを感じることができたのではないかと思います。今すぐでなくとも、触れたものは、自分の中に何かしらのエッセンスになっていて、必ず活かされると信じています。どんな年齢でもこの様な体験はその人の幅を広げると思いますが、早い段階での体験は無限の可能性を秘めていると思います。
アトランタでは、カーターセンター見学、キング牧師記念館見学をしました。
カーターセンターで、正願寺にあった鐘が展示されているのを見た時は、単純に感動しました。ジミーカーター氏の平和への思いは行動という形で、いろんな問題を乗り越えてきているんだなぁと実感しました。歴代のアメリカ大統領の中で、大統領を辞めて一番活躍しているのがジミーカーター氏だそうです。世界の紛争解決と予防、疫病撲滅と管理などをテーマに調査研究をし、それを行動に直結させて結果を出していく。また発展途上国の選挙で不正が行われていないかの見守りも行っています。世界で無視されている問題の解決の具体例を見ると、行動していくという意味を知ることができます。新たな問題が出たら解決策を考える。それの繰り返し。人類が理不尽に苦しむことを決して認めない。だからこそカーターセンターは世界の問題が集まってくる場所になっているのです。最初の行動が大きな仕組みにつながるということも理解できました。
キング牧師記念館は、黒人の権利を守るために公民権運動を行っていた時のキング師の演説の録音テープを始め、ゆかりの品が展示されていました。インドのガンジーの思想が彼に大きく影響を与えたようです。ガンジーを研究することによって、真の平和主義とは『悪への非抵抗』ではなく、『悪への非暴力的抵抗』であることを確信し、行動していったそうです。ガンジーの本やカンジーの最後の持ち物も展示してありました。信念をもって行動する事は、人の心を動かし、時代を超えて受け継がれることを実感しました。この記念館の前には、マーチン・ルーサー・キング牧師の墓があり、大勢の人々がアメリカ中から訪ねて来ているみたいです。それだけ今もなお英雄ということがわかります。
アトランタからアメリカス市まで車で3時間。自然豊かな人口16,000人の市。綿花、ピーナッツ、大豆の畑をたくさん見ました。イノシシも鹿も出るそうです。
アメリカス市は、カーター夫妻のホスピタリティの精神により、様々な活動が地域に根ざしている土地だなと感じました。そしてそれは地域を越えて世界へ広がっているなと感じました。私達が出会った方達に共通していたのは、1つは平等に感謝の気持ちを持っていることです。ご飯を食べるとき、農作物を作ってくれた人、料理を作ってくれた人、関わった人全てに感謝の気持ちでお祈りをする機会が何回かありました。高校の見学の時も給食の前、副校長がお祈りの言葉を言われ、みんなで祈りました。そしてもう1つは、目の前のコミュニティだけでなく、地域社会への貢献そして世界中の人の幸せを考えて行動していることです。特に弱い立場の人の事を無視しない姿勢がありました。Habitat(ハビタット・フォー・ヒューマニティ)の本部を訪問しました。ハビタットは家を建てることで人々の希望を築く国際支援団体で、途上国の貧困や劣悪な住まいの問題を解決していくため、現在は世界約80か国で、支援を受ける人々そして世界中のボランティアの皆さんと共に、住居建築や自立支援に取り組んでいるそうです。
Shriner(シュライナー)という団体の代表は、22カ所の子供の病院(無料)を運営されていて、困っている子供がいたら、連絡してください。私達が助けます。と断言されてました。
ロザリンカーター institute for caregiving(介護の研究所)では、介護される側だけではなくて、介護する人のケアが大事だということで、介護人ケアのボランティア活動を行い、全州、世界中に必要だと呼びかけています。コイノニア農園は、環境、人に優しく、人種や生まれた環境に関係なく世界中どこからでも来て兄弟の様に過ごせる場所になっています。インターンシップのプログラムがあり、18歳から92歳までなら誰でも農園スキルを学ぶことができます。今まで1,000人以上が訪れていて、誰でも歓迎します。とおっしゃっていました。このように、すべての人が人間らしく生きれるように活動されています。
私達が会った方達は、自分がしている行動に誇りを持っておられました。それぞれの活動を尊重し合っていました。そのようなリーダーが多く存在していることにより、確実に種を蒔いているし、郷土の肥やしになっています。そこは見習いたい部分でした。
私達の住んでいる町の良いところも見えてきました。犯罪もないですし、高齢化しているけれど、地域愛が半端なく、助け合いで地域を盛り上げているところです。そして25年交流を続けているので、視野は広がり、アメリカス市の精神も少しづつ確実に浸透してきています。これはカーター氏の縁をきっかけに行動を続けた結果です。
今後も様々な形で交流を続けていきたいなぁと素直に思いました。
日本の小さな町出身の英雄がこれから続々と出てくるのを期待しつつ、私自身もヒューマニティーを自分なりに考え行動していきたいです。自然豊かな町を守り、人間らしくあり続けたいです。地域を盛り上げることを楽しんでいきたいです。そして幸せを広げ、世界中に発信できる町にしていきたいです。
この度の訪問に関わっていただいた全ての方々に心から感謝いたします。